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2006年11月23日 (木)

タナゴの分類1(Tanakia属)

さて、第1回目はTanakia属(アブラボテ属)からです。
というのも、この属に含まれるタナゴはタナゴの中でも最も原始的
構造を持ったタナゴだからです。
ここでいう原始的という意味は、
この属のタナゴに共通する特徴として、
他のコイ科の魚と同様、「染色体の数が2n=48である」
ということに基づいています(勿論コイ科の魚にも例外はあります)。
このことから、他のタナゴに比べるとコイ科の魚として
未分化であるという意味です。

Tanakia属に含まれる日本のタナゴは、
・ヤリタナゴ Tanakia lanceolata
・アブラボテ Tanakia limbata
・ミヤコタナゴ Tanakia tanago
の3種類です。

学名のTanakiaは東京帝国大学の教授で魚類学者の
田中茂穂博士の名に由来しています。

この種の特徴としては、他のタナゴ類と違って、
いずれも背びれの条間膜に紡錘形の濃色斑紋を持つことです。

ここから各論に入りたいと思います。
但し、ここでは各タナゴの特徴を紹介し、
見分けなどは次の記事で行いたいと思います。

Fi2621446_2e                                                        ヤリタナゴ Tankia lanceolata(lanceolata;小さい槍の)
全長;10から13センチ
産卵期;4から6月
<特徴>
日本タナゴ類の中で、分布域が最も広い。
体高はタナゴ類としては低い方で、体側に顕著な斑紋はない。
背びれの条間膜に紡錘形の濃色斑紋が一個ずつある。
側線は完全で、ヒゲは比較的長い。
メスの産卵管は橙黄色で比較的短く、尻ビレ条の後端に達する程度。

Fi2621446_3e                                                        アブラボテ Tanakia limbata(limbata;辺縁のある)
全長;4から7センチ
産卵期;4から8月
寿命;多くは2年
<特徴>
体側に顕著な斑紋が無く、背びれの条間膜に紡錘形の黒色斑紋がある。
側線は完全で、ヒゲは長い(ここまではヤリタナゴと同じ)。
体高が高く、体側の色は濃い黄褐色である。
背びれと尻ビレの付け根に付着している鱗は、
ヤリタナゴ1列に対して、アブラボテ2列。
メスの産卵管は黒色で、尾びれ後端まで伸びる。
後期仔魚になると、アブラボテの体表の色素は微小で多く、
体が黒ずんでくることで識別できる。

Fi2621446_4e                                                         ミヤコタナゴ Tanakia tanago(tanago;日本のタナゴから)
全長;4.5から6センチ
産卵期;4から7月
<特徴>
茨城県を除く関東地方のみに生息(但し、神奈川県と東京都では絶滅)。
鰓蓋の後縁に接して一個の淡褐色斑がある。
背びれの条間膜に紡錘形の濃色斑紋が一個ずつある。
側線は不完全で、ヒゲは眼径の半分程度。
メスの産卵管はほとんど無色で、尾びれの後端まで伸びる。
1974年に国の天然記念物に指定される。

と比較的見分けやすいTanakia属から始めてみました。
急いでまとめたので、まだまだ書き足すことや
訂正箇所があると思います。
写真など更に必要なものは随時追加していきたいと思います。

<参考文献>
川那部浩哉 他 1989 
山渓カラー名鑑改訂版日本の淡水魚 354から359項 山と渓谷社
長田芳和 1976
世界のタナゴ類 淡水魚2号120から133項 財団法人淡水魚保護協会
上野紘一 1976
タナゴ類の染色体ー魚の類縁関係と核型ー 淡水魚2号 134から138項
財団法人淡水魚保護協会
川那部浩哉・水野信彦 1989 
検索入門川と湖の魚 96から100項 保育社

これらの参考文献はTBでより詳細に分かるようにしておきたいと思います。(少し時間を下さい)

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コメント

まああれだ……二度間違うとつっこんじゃうよ×茨木(これは大阪の市ですな) ○茨城千葉県の某所で「外道として」ミヤコタナゴが釣れるときもあるという場所を聞いたことがある。茨城では見かけたという話は残念ながら聞きませんね。うーん……ミヤコを見るなら、東京の井の頭公園水族館がオススメ。後はさいたま水族館や霞ヶ浦水族館でも見れますが……九州方面で見れる場所は無いのかなぁ。婚姻色ならずとも、とても綺麗なので、是非現物を見ていただきたいです。

投稿: うみへび | 2006年11月23日 (木) 22時08分

>うみへびさんへ「茨木→茨城」訂正させて戴きました。申し訳ありませんm(__)m知り合いに茨木さんという方がいらっしゃるので。。。(;^_^A アセアセ…ミヤコタナゴ写真でしか見たことないですね。今回改めて調べ直してみて、意外に小さいタナゴだったという点に驚きました。しかし、天然記念物が外道というのも面白いですね。琵琶湖博物館でも見られないんですね。。。他にも写真が必要なタナゴがいるので、今度の旅行の際に写真獲ろうと思っていたんですが、こりゃ、私も関東に行くしかないなぁ。。。貯金をしなきゃ。

投稿: Zacco | 2006年11月23日 (木) 22時21分

黒褐色に色付いたアブラボテ、綺麗ですね。素早いのでZaccoさんの様なアングルで写真が撮れません、腕を磨きます。 こちらでは流水域で多く見られますが、九州では止水域にも多く棲息していると聞きます。この地域差は本当ですか?

投稿: ryu-oumi | 2006年11月24日 (金) 08時47分

ただただ勉強になるばかりです。φ(。。;)メモメモアブラボテのしゃしん、僕もお気に入りです(*´∇`*)

投稿: さぼてん | 2006年11月24日 (金) 17時49分

>ryuさんへアブラボテはそう言われて写真を見返すと、あまり撮影していないですね。奥の方に隠れていることが多いからかな?私の場合は数で勝負です。(腕は未熟です)お尋ねの件ですが、実際私がアブラボテを獲っているのは流水環境です。しかし、柳川などに行くとそうした傾向もあるのかもしれませんね。まだ、セボシのリベンジもありますので、改めて調査したいと思います。分かったら、お知らせしますね。(^。^)

投稿: Zacco | 2006年11月24日 (金) 20時11分

>さぼてんさんへ既に幾つか誤りに気が付いてしまいました。。。。文献を整理するのは楽しいですね。しかし、タナゴ自体がまだまだ確定した分類が無いので、色々と謎も多いです。アブラボテの写真お褒めいただき有り難うございます。さぼてんさんに褒められると、少し自信がでてきました。(^◇^)/ワーイ!!さて、まだまだ残りをまとめないと。。。

投稿: Zacco | 2006年11月24日 (金) 20時14分

新シリーズ楽しみにしていますね。普段余り見れないタナゴなので写真に興奮しとります。うちも未完成のレッドリスト全県制覇しないと。。最近サボっています。

投稿: きつね | 2006年11月24日 (金) 23時30分

体系的にタナゴを調べたことがないので大変参考になります。勉強させてくださいね。個人的にヤリタナゴの婚姻色は大好きです。アブラボテも渋いですね…。

投稿: 懐畔泥鰌 | 2006年11月25日 (土) 00時01分

こりゃまた内容が濃い記事ですね!Zaccoさんの知識と文献の多さが分りますね^^それに比べて私は・・・^^;「わー!なんかのタナゴだぁ!」なんていつもほざいています><これをいい機会に勉強してみようかな^^;

投稿: たこちゃん | 2006年11月25日 (土) 23時07分

>きつねさんへ今日はちょっとでかけて今帰ってきました。レッドデータそう言えば。。。でも、紹介していただけると、色々な発見があるので、楽しみにしてます。タナゴの記事ですが、色々とどう伝えようと考えています。アイデアも色々と戴いているので、それらも活かしながら続けていけるといいのですが。ただ、次のバラタナゴ属までは数が少ないのですが、もう一つの属は。。。。また、属を越えて見間違いやすいタナゴはどうするか?とか色々と悩みも絶えません。でも頑張って記事にしたいと思います。

投稿: Zacco | 2006年11月26日 (日) 22時42分

>懐畔泥鰌さんへ私自身今回色々な文献を改めて調べ直して、本当に色々な発見があります。多分、ある程度の所で記事は発表していかないと、キリが無いという現実がありますので、少しずつ加筆しながら、続けて行きたいですね。私も懐畔泥鰌さんの色々な試みは大変勉強になっております。ヤリの婚姻色は綺麗ですよね。場所によっては市の天然記念物になってて採集できない場所もあるようですが、私は魚と人間の距離感がここまでくると悲しくなってしまいます。今の内に対策をしなきゃいけないと思います。

投稿: Zacco | 2006年11月26日 (日) 22時47分

>たこちゃんへ多分、タナゴだ!!って思える環境が、本来の正しいタナゴとのつきあい方なんだと思います。それだけ自然が豊かでタナゴが沢山いるというのが本来の姿で、気に入った個体を何も考える事無く持って帰る事が出来る。本来はそうだったはずですから。ただ、現状として二枚貝の減少や環境破壊などでタナゴを減らしていく人間がいる一方で、タナゴは貴重だから保護すべきだ、獲ってはいけないという人間がいます。そうした現状ではタナゴの同定がしっかりでき、どいいう状況にあるのかを知ることは大切なことだと思います。私自身は知識整理のつもりで始めたのですが、知らないことも沢山でてきて、改めて奥深さに恐れすら感じています。。。

投稿: Zacco | 2006年11月26日 (日) 22時57分

私の経験談でもあるのですが、ヤリもアブラも稚魚や幼魚のときは全然見分けつかないですね。ずっとヤリだと思って育てていたら、実はアブラボテだったという・・・

投稿: べーさん | 2006年12月 3日 (日) 23時41分

ヤリが天然記念物になっている町もあるんですか。この辺では川やら用水路にまだまだいるからそういう地域もあるかと思うと、なんだか複雑な気分になりますね。

投稿: べーさん | 2006年12月 3日 (日) 23時43分

>べーさんへ確かに稚魚の頃は難しいですね。ボテとヤリの稚魚の差は本当に仰る通りだと思います。ヤリは減っている所では本当に深刻なようです。本当に残念なことですね。。。。

投稿: Zacco | 2006年12月11日 (月) 22時01分

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